腎臓内科|おおつか内科クリニック 消化器内科・腎臓内科|茨城県つくば市

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腎臓とは、腰の両側についている、そら豆型をした10㎝大の臓器です。肝臓とならんで、体に生じた毒素を解毒・代謝するはたらきをしています。(昔から「肝腎かなめ」といいますよね!)全身の血液をきれいにするわけですから、たくさんの毛細血管が集まってできています。毛細血管の毛玉のような構造(糸球体)から尿がろ過されてできてきます。体にとって余分な毒素(尿毒素)と余分な水分を、尿として排泄します。
この糸球体というミクロ毛細血管の毛玉構造は、片方の腎臓に100万個あると言われています。ここに異常が起こると、尿検査に異常が現れてきます。

IgA腎症

IgA腎症とは、血尿やたんぱく尿などの症状が現れる慢性疾患で、いわゆる慢性腎炎、の代表的疾患です。体をばい菌やウイルスなどの外敵から守る免疫物質である、「IgA」の機能異常で起こるとされています。日本では約7~8割の患者さんが、学校や職場などで実施される一般健康診断の尿検査をきっかけに発見されています。
発症初期には自覚症状はほとんどありませんが、治療をしないまま放置すると透析治療が必要な腎不全へ至ることがあります。(20年間の経過で約40%が重篤な腎不全に至るとされています。)近年は早期の段階で適切な治療を受けられるケースが増えており、寛解状態(腎臓がこれ以上悪くならない状態)を目指すことも可能になっています。

症状

IgA腎症の主な症状は、血尿とたんぱく尿(検尿異常)です。はっきりとした自覚症状はほとんどありません。IgA腎症では腎臓のなかの毛細血管(糸球体)に慢性炎症が起こり、血管の壁が傷害されることで赤血球(血液)とたんぱく粒子が尿に漏れ出てきます。
発症初期の患者さんの場合、炎症を起こしている毛細血管は全体の一部であるため、血尿のみでたんぱく尿は認められないこともあります。血尿といっても、実際に尿の色が赤くなるわけではないため、肉眼では確認できません。顕微鏡的血尿といって、顕微鏡で見るとはじめて、尿中に赤血球(血液)が出てきていることが確認できます。

初期段階では血尿やたんぱく尿があっても見た目ではわからないことが多く、自覚症状もありません。(風邪や扁桃腺炎にかかった後に、一時的に腎臓の炎症が悪化して、ウーロン茶のような色の尿(肉眼的血尿)が出ることがあります。)
腎機能の低下するスピードは比較的ゆっくりであるため、初期には腎機能は正常です。しかし治療をしないまま病気が徐々に進行してしまうと、毛細血管の炎症が広がり腎臓が荒廃してしまい、腎機能の低下をきたしてしまいます。そうなると、むくみやだるさなどの、腎不全の症状が顕在化します。

治療

日本では、ステロイド薬の大量投与(点滴投与)と扁桃腺の摘出手術を組み合わせた「扁摘手術+ステロイドパルス療法」(扁摘パルス療法)が主流となっています。
IgA腎症の原因となる「IgA(免疫物質)」は、のどの扁桃腺でつくられます。正常なIgAはばい菌やウイルスをやっつける働きをしますが、IgA腎症の患者さんでは、機能異常のため腎臓にくっつき、慢性炎症をおこします。異常なIgAの発生源である扁桃腺を手術で取り除く(扁摘手術)ことで、腎炎の進行を防ぐことができると考えられています。全身麻酔が必要な外科的手術のため、総合病院と連携のうえ、具体的な相談をしてゆきます。免疫物質の産生を抑えるステロイドホルモン剤を、はじめは点滴→その後内服で投与します。

扁摘手術とステロイド治療を組み合わせ、1年強の治療期間で終了します。検尿異常の初回指摘から3年以内なら(腎臓が荒れていない初期の状態であれば)、80%以上の高い寛解率が期待できるとされています。

糖尿病性腎症

糖尿病性腎症とは、糖尿病に関連して発症する腎障害のことを指します。透析導入の原因疾患として最多です。糖尿病性の毛細血管障害で生じる合併症には網膜症(視力低下)や神経障害(手足のしびれ)などがありますが、糖尿病性腎症はこれらと並んで3大合併症のひとつです。一般的に、十数年の経過で、神経障害→網膜症→腎症の順で発症することが多いといわれています。
糖尿病は全身の毛細血管に対して障害(動脈硬化)を起こす病気です。糖尿病性腎症の初期は自覚症状がありません。症状がないまま徐々に腎障害が進行するため、適切な治療を行わないと、最終的には腎臓の機能が失われて透析が必要となることもあります。

糖尿病性腎症を発症させないためにも、また一度発症した糖尿病性腎症を悪化させないためにも、糖尿病のコントロールを保つことが重要です。また、血圧管理が重要ですし、禁煙も非常に重要です。健康的食生活と定期的運動に気をつけて、体をしっかりいたわってゆくこと。これが、とても重要なのです。

症状

糖尿病性腎症は、早期の段階ではほとんど症状を現さずに腎障害が進みます。潜在的に腎障害が進行してしまうのです。腎臓のはたらきは、体の余分な水分を捨てることと、余分な毒素を捨てることです。腎障害が進行すると、この二つの働きが徐々に失われてゆくことで、全身のむくみを生じるようになり、血液検査では不整脈毒素(K:カリウム)貯留などの異常がみられるようになってゆきます。最終的に、尿毒症(腎臓のはたらきが失われてしまった状態)にまで悪化してしまった場合には、透析導入や腎移植が必要となってしまいます。

治療

減塩とカロリー制限に気をつけることはとても重要です。毎日30分程度の運動も重要です(気晴らしの散歩程度でよいので「続けられること」がだいじです)。内服やインスリン治療で、高血糖を抑えられるようサポートします。大事なのは、「血糖をよくすることだけでなく、血圧管理や禁煙など、全身をトータルでいたわってゆくことが必要である」ということです。腎臓だけでなく、全身の臓器を動脈硬化から守る必要があるからです。早期の糖尿病性腎症であれば、血糖改善と生活改善によって改善が期待できます。(そのため早期発見がとても重要であり、定期的な検尿や採血検査が重要です。)

ある程度腎障害が進行してしまった場合、正常な状態に戻ることは困難となります。しかし、血糖や血圧管理,禁煙で腎臓の負担は大きく減るため、腎機能の低下を遅らせることができます。腎臓の機能が重度に低下してしまった場合、透析療法導入や腎移植を視野に準備をしてゆくこととなります。

(高血圧性)腎硬化症

高血圧とは、診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上、あるいは家庭で測定した血圧が135/85mmHgを越えて高くなることを指します。男性の6割、女性の4割が高血圧であり、国民の3人に1人が高血圧であるといわれています。
年齢が高いほど高血圧である人の割合が高く、人口の高齢化に伴い、高血圧患者数は更に増加することが予想されます。慢性的高血圧による腎障害を、(高血圧性)腎硬化症といいます。腎臓は毛細血管の塊のような臓器ですから、高い血圧にさらされるうちに、毛細血管が傷んで動脈硬化がすすみます。徐々に腎機能が低下していってしまうのです。

症状

IgA腎症や糖尿病性腎症と異なり、腎硬化症では検尿異常が出にくいのが特徴です。腎機能が正常な初期には自覚症状もないため、血圧が高い状態が続くと、徐々に腎障害がすすんでしまいます。腎不全の状態にまで進行してしまうと、むくみやだるさなどの症状が顕在化してきます。

治療

腎硬化症の予防と治療は、その原因である高血圧の治療です。生活習慣の改善と薬物治療の2つによって行います。まずは、高血圧に関与している塩分の過剰摂取(日本人は平均12g/日の塩分を摂取しますが、適正なのは6gです)、肥満、運動不足、ストレス、喫煙など生活習慣を改善します。血圧推移と検尿検査結果をみて、薬物治療を併用します。